てぃーだブログ › 我那覇孝淳の『ありふれた日々』

2011年12月20日

止める男

女  2011年も終わった。去年は本当に災害の多い年だった。なんて言うけど、毎年毎年、何かしらの災害は起っていると思う。地震も津波も台風も、人間から見たら災害だろうけど、地球目線でみたら、単なる自然現象に過ぎないと思うのよ。私、思うんだけど、本当は、地球って人間の事を嫌ってるんじゃないかな。だから、あの手この手を使って人間を排除しようとする。私たちが薬を飲んでウイルスを撃退するように。まぁ、兎に角、2011年は歴史的に色々ショッキングな年だった。私個人の去年起きたショッキングな出来事は突然、彼に振られた事。だからと言う訳じゃないけど、2012年。私は今、富士山の山頂近くの休憩所にいる。午前3時頃、ここを出れば、ちょうどいいタイミングで初日の出を参拝出来る。だけど、外は生憎の雨模様。山頂に着く頃には晴れてくれたらいいけど。この休憩所には、私を含め16人の登山者がいる。その中に、一人だけ完全に浮いているオジサンがいる。いや、オジイサンか。皆、登山靴に防寒具、ザックを持ってそれなりの装備なのに、このジイサンだけ、あれ、なんて言うんだっけ、修行する人。そうそう、修験者の格好なのだ。白と黒のツートンカラーの衣装に足元は足袋。そして、杖を持っている。おいおい、寒くないのか?そのジイサンが突然私に話かけてきた

修験者 お嬢さん

女  は、はい

修験者 気になるかい

女  は?

修験者 私の事、気になるかい?

女  い、いえ。別に

修験者 気になってるね!気になっている気を発しておる!そおです。私が修験道者です。初めて?

女  はい?

修験者 修験道者見るの初めて?

女  ええ、まぁ

修験道 女人禁制の身だからね!!!握手は出来ないよ!私はねぇ、お嬢さん。気になっている様だから言うけどねぇ、

女  別に気になっていませんけど

修験道 止めに来んだよ!

女   …

修験道 止めに来んだよ!

女   …

修験道 止めに来んだよ!

女   …

修験道 止めに来んだよぉぉぉぉ!

女   …あの…何をですか?…

修験者 気に成ってるね!お嬢さん!

女   成ってませんけど

修験者 2012年12月21日に世界は滅亡するんだよ!お嬢さん!知らないの!?

女   ああ、あのマヤの予言ですか

修験者 そう!それを止めに来んだよ!1999年のノストラダムスの予言も私が止めたんだよ!富士山の初日の出を拝みながら、私の力で、加持祈祷の御力で!

女   ああ、そうですか。じゃあ、外の雨を止めてください

修験者 いいよ!晴れたらイイんじゃなーいの!ポン!はい、晴れた~

女   嘘付け!

修験者 ああ!もう午前3時になるね!もう出発しないといけないね!お嬢さん!その荷物は私が持ってあげよう!私には強靭な精神力と肉体があるからね!

女   ああ、いいです!

修験者 いいって、いいって!私は70越えてるけどね、厳しい修行のおかげでいででででででででで!腰が!腰が!重っ!この荷物重っ!

女   大丈夫ですか?

修験者 いいって、いいって!私の事はいいから、早く行きなさい。

女   ………結局、私達はこのジイサンを置いて休憩所を出た。外はすっかり雨が止み、満天の星空に成っていた。そんな事は無いと思うけど、もし2012年12月21日に地球が滅びたら、重い荷物を持ってきた私のせいかも知れない。
  

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2011年09月27日

ふるさと



12年ぶりに故郷に帰ってきた。
村を取り囲む山々も、小川のせせらぎも、何も変らない。
昔のままだった。
田んぼの稲もすくすくと育っている。もうすぐ収穫の季節だ。なつかしいな。
やあ!大宮のおじさん!覚えていますか?僕です。
トラクターの整備をなさっているんですか?そういえば昔、おじさんのトラクターを勝手に運転して、木にぶつけちゃいましたね。
あの時は本当にごめんなさい。おじさんのげんこつ、いまでも覚えています。僕はこの村に帰ってきました。大宮のおじさん、さようなら。
   


この村には嫌な思い出しかない。



こんにちは、松屋のおばあちゃん!覚えていますか?僕です。
もう駄菓子屋さんはやっていないんですか?
そうですか。残念です。
そういえば、僕はよくおばあちゃんのお店で万引きをして、木製の定規で叩かれたっけ。
あれは本当に痛かった。あの時は本当にごめんなさい。
でも、一度だけ、何も盗んでいないのに、疑われて叩かれた事があったんですよ、知っていますか?
僕はこの村に帰ってきました。松屋のおばあちゃん、さようなら。

   

この村には嫌な思い出しかない。



こんにちは、御堂條(みどうすじ)先生!覚えていますか?僕です。
学校にいかなくてもいいんですか?
そうですか。定年ですか。長い間お疲れ様でした。
そういえば、僕が飼育小屋の鶏を全部売りさばいた時、先生は理由も聞かずに何どもひっぱたきましたよね。
あの時は本当にごめんなさい。
貧乏人は耐えるしかなかったんですよね。
僕はこの村に帰ってきました。
御堂條先生、さようなら。



この村には嫌な思い出しかない。



こんにちは、ハナちゃんのお父さん。
覚えていますか?僕です。
ハナちゃんは元気ですか?え?村を出て行ったんですか。
そうですよね。この村には働く場所がない。若者はみんな村を出ていく。
でも、僕は帰ってきましたよ。
そういえば昔、僕とハナちゃんが付き合い始めた頃、あなたは僕をボコボコにしましたよね?
覚えていますか?
本当はハナちゃんの方から告白してきたんですよ?
好きだと言うから付き合ってあげたんです。
どうしたんですか?そんな顔をして。これですか?
これはナタです。
けっこう重いですよ。
でも、これくらい重くないといけないんです。
一発で頭蓋骨を叩き割るには、これくらい重たくないといけないんですよ。
僕はこの村に帰ってきました。
ハナちゃんのお父さん、………さようなら。



この村には嫌な思い出しかない。



やあ、こんちには、村長さん!
お元気そうでなによりです。
覚えていますか?

僕です。


作 我那覇孝淳(C)  

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2011年09月07日

先読み将棋



棋士   「まさか、君とこんな事になるなんて」

女流棋士 「先生がお誘いになったんですよ」

棋士   「先生はやめたまえ」

女流棋士 「八段に昇格、おめでとうございます」

棋士   「ありがとう」

女流棋士 「あとは公式戦で250勝あげれば九段ですね。先生ならもう獲ったも同然です」

棋士   「将棋はそんなに単純なものじゃないよ。僕なんかまだまだ」

女流棋士 「そんな事ありません。この前の竜王戦、私、しびれちゃいました。まさか、山田八段の6四桂に対して、先生はかまわず4三桂成。その後、7六桂で銀を取られると先手不利になるのに、よく踏み込んでいきましたね」

棋士   「ははは。一見、無謀な手筋に見えるかもしれないが、僕は20手30手先を読んで、あの手を指したんだよ。僕に言わせれば、あの手しかなかった」

女流棋士 「さすが、先生…」

棋士   「先生は、やめたまえ」

女流棋士 「じゃあ、20手30手先を読んで、私をこんな所にお誘いになったんですか?」

棋士   「うーん。それがね。どうも酒が入ると、僕は手筋の読み誤りをするようだ。こんな所まで付き合ってもらってなんだが、今日はこのまま帰ろう。できれば、ここへ来たことも忘れて貰いたい」

女流棋士 「そんな!あんな攻撃的な攻めをする先生が、どうして急に弱腰になるんですか? 」

棋士   「しかし、私には妻も子もいる。第一、八段になったばかりで、ここが正念場なんだ。スキャンダルはまずい」

女流棋士 「一夜限りの契りでも、先生となら私は後悔はしません」

棋士   「そこまで覚悟して…」

女流棋士 「先生、お願い…。抱いて…」

棋士   「杉山クン………。ちょ、ちょっと待ってくれ。アレがアア来て、コレがコウ来る。すると、あの筋から…」

女流棋士 「先生?どうしました?」

棋士   「ああ!だめだ!24手目で、君の元彼のボクサーが出てきて、ボコボコにされる!」

女流棋士 「私にボクサーの元彼なんていません!」

棋士   「なに!居ないのか!だったら別の手で…アレをアアしたらコレがコウ来るだろ?そうすると…ああ!ダメだ!」

女流棋士 「どうしました?」

棋士   「32手目で君のお父さんが出てくる!」

女流棋士 「父は一昨年亡くなりました!」

棋士   「なに!亡くなったのか!だったら、コレがコウ来て、ソレをアアして…ああ!ダメだ!」

女流棋士 「どうしました!」

棋士   「43手目で、妊娠してしまう!」

女流棋士 「大丈夫です!コンドーム持ってます!1ダース!」

棋士   「よし!やろう!ええ乳しとるやないか!ええ乳しとるやないか!」

女流棋士 「ああああああ!」

棋士   「カウントしたまえ!残り時間をカウントしたまえ!」

女流棋士 「は、はい!10秒…1…2…3」

棋士   「うっっっ!」

女流棋士 「早っっっ!!!」



作 我那覇孝淳(C)

  

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2011年04月17日

レンジでチン


男  
えー。この度は御愁傷様でございます。私どもの方で手厚くお弔いさせて頂きます。

女  
(泣きながら)あ、有難う、ございます。ううう

男  
今日は故人と最後のお別れをなさって下さい。明日、ご遺体を引き取りに伺います。

女  
はい。有難う、ございます。うううう!

男  
大丈夫ですか?

女  
すみません

男  
それでは、申し訳ありませんが、明日の段取りをもう一度確認させて頂きます。

女  
はい。宜しく、お願いす。ううう

男  
では、明日は葬儀は執り行わず、火葬のみ、で宜しいですね?

女  
はい。本当はお葬式もやってあげたかったんですけど。ううう。

男  
いえいえ、最近は火葬のみの方も大勢いらっしゃいますよ。

女  
本当ですか?ううう

男  
はい。えー。火葬の前に、故人に別れの言葉を言って頂くのですが、その文章をある程度こちらで作成いたします

女  
別れの言葉ですか?

男  
はい。勿論、別れのお言葉ですから、お気持ちをそのままおっしゃっても結構です。ただ、ある程度、文章を作って置かないと、本番の時に感極まって、頭が真っ白になって何を言っていいのか分からなくなる方もいらっしゃるので

女  
ああ

男  
なので、少し故人の事を伺いますけど、宜しいですか?

女  
はい

男  
えーっと。先ずはお名前から

女  
デメちゃんです

男  
デメちゃん。と。何年のお付き合いでしたか?

女  
一八年です

男  
一八年!ほー。出目金にしては長生きしましたね。大切にお育てになったんですね

女  
はい!うううう

男  
何か、特技は有りませんでしたか?

女  
人間ポンプです

男  
人間ポンプ?

女  
はい、一度食べた餌を、私が手を叩いて合図すると、ポンって口から吐き出すんです。金魚がやるから金魚ポンプだって友達は言うんですけど、デメちゃんは、私の家族なので、やっぱり…やっぱり…人間ポンプなんですぅぅぅぅううううう

男  
大事になさっていたんですね。私どもペット葬儀社『極楽園』が責任を持って火葬させて頂きます。

女  
はい。ありが、とううううう

男  
では、火葬代金なんですが、消費税込で52,500円になります。

女  
え?52,500円?ちょっと高くないですか?

男  
え?

女  
うちのお祖父ちゃんが死んだ時の火葬代は145,750円だったのに!体重60キロで!デメちゃんは大体30gでしょ。30gで52,500円は高いでしょ、どう考えたって!何考えてるの!死んだじいちゃんが60キロでデメちゃんが30gだから、60000g割る事の30gでー、ちょっと電卓かして

男  
ちょちょちょ

女  
二千分の1!デメちゃんの体重はじいちゃんの体重の二千分の1!だからじいちゃんの火葬代145,750割る2000は!72.875!約73円じゃない!だったらデメちゃんの火葬代の相場は73円でしょ!!


男  
っていう客がいたんだよ。

男2 
ひっでーな。で、どうしたの?

男  
仕方が無いから73円貰って、レンジでチンしたよ

男2 
うわぁぁ


作・我那覇孝淳(C)  

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2011年03月21日

不幸の星

サチエ 
「人は皆、生まれた瞬間から宿命と言う名のリュックを背負っている。
そのリュックの中には星のかけらが入っているのだ。
貧乏の星。金持ちの星。心配症の星。冒険家の星。ワキガの星。美形なのに何故か異性にモテない星。ウンコみたいな顔のくせに何故かモテモテの星。付き合う男、付き合う男全てが何故か無職になるニートの星。付き合う女、付き合う女全てが何故か万引きをする節約家の星…。
そういう星の元に人は生まれてくる。
私の親友、アミが背負っている宿命と言う名のリュックの中には、『付き合う男は皆、死んでしまう』と言う恐ろしい星が入っている。


アミ  
「もう、嫌になっちゃう…。なんで、私だけいつも、こうなんだろ。もう、誰も愛せないよ」


サチエ 
「大丈夫?あんまり気を落とさないで。もう飲まない方がいいよ」


アミ  
「も~。飲ませてよ~」


サチエ 
「やめなって!いつか良い男が現れるって」


アミ  
「無理だよそんなの!ヨシアキは交通事故で死んじゃうし、カズトヨは自殺しちゃったし、シノブはバンジージャンプで死んじゃったし!
もう、怖くて恋なんて出来ないよ!私は付き合う男を殺してしまう、そんな不幸な星の元に生まれたんだよ!私は一生この運命から逃れられないの!」


サチエ 
「馬鹿!そんな事、あるわけないでしょ!運命は変えられるんだよ!」


アミ  
「だって、だって」


サチエ 
「大丈夫だって。だったらさ、何があっても死なない星の元に生まれた男と付き合えばいいでしょ?」


アミ  
「そんな人なんて居るわけないじゃない」


サチエ 
「それが居るんだなぁ。登山家で何ども死にかけたけど、必ず生きて帰ってくる男が」


アミ  
「ホント!紹介して!」


サチエ 
「アミは『付き合う男は皆、死んでしまう』星の元に生まれた女だけど、私は何故か『付き合う男が皆、暴力を振るう』DVの星の元に生まれた女なのだ。
今付き合っている男は今までの男の中でも最悪で、木刀で私の腹を思い切りスイングする。
顔や手足は痣が見えてDVがバレるから、腹や背中を狙うと言う、ズル賢い男。
私以外にも女を作っている身勝手な男。
登山家だけあって、力も凄い。
別れを切り出せば切り出すほど、暴力も酷くなる。
いつか私はこの男に殺されてしまうだろう。殺される前に殺さないと…」


アミ  
「へぇ。登山家かぁ、ねぇ、どんな人?」


サチエ 
「ん~とね、野性的な人。会ってみる?」




作・我那覇孝淳(c)   

Posted by koujun at 17:25Comments(0)TrackBack(0)

2011年03月11日

夜間タクシー


男  私はフリーライター。全国各地を回って面白い話しをかき集めている。
   面白い話と言っても笑える話しだけではない。
   勿論、笑える話もそうだが、悲しい話だって面白いし、痛い話だって面白い。
   ハッピーな話も面白いし、アンハッピーな話はもっと面白い。
   そして、身の毛もよだつ恐怖の話も、面白い。
   そういった、人が聞きたがる面白い話を集めて本にする。
   それが私の仕事だ。
   もともと、他人と喋る事が苦手でフリーライターという仕事を選んだ。
   しかし、フリーライターと言う仕事は、実際には書くことよりも、人と話す事の方が多い。
   話を聞き出す話術が書く技術よりも要求されるのだ。
   いつしか私は話術が巧みになり、その人を見るだけで、
   どんな話が聞き出せるか、直感でわかるようになった。

   その日は、ある雑誌の打ち合わせを夜遅くまでしたため、タクシーに乗って帰宅した。 


女  「どこまで行きますか?」


男  タクシー運転手は女性ドライバーだった。今では珍しくは無いが頻繁にお目にかかるものでも無い。
   私は手短に行き場所を告げて後部座席から彼女を観察した。
   そしてその様子から、何となく恐怖体験を聞き出せるような、そんな気がした。
   そこで、私は気さくに話を切り出した。

   「この前、タクシーの運転手さんから聞いたんですけどね」


女  「はい」


男  「その人、スーツを着た、一見してその筋の人とわかる男を乗せたそうなんです」


女  「その筋?」 


男  「ええ。つまりヤクザです」


女  「ああ」


男  「でそのヤクザ、後部座席で何やらカチャカチャやってるんですよ。
    それで、ミラー越しに後部座席を覗いたらピストルのメンテナンスをしてたらしいんです」


女  「へー」


男  「その男、ニヤリと笑って『誰にも言うなよ』って言ったらしいんです。
    そんな事ってあるんですねぇ」

   怖い話を聞き出したいのなら、こっちから怖い話を一つ提供する。
   うまく行けばその小ネタに食らいついて、その小ネタよりも面白い話を聞かせてくれる。


女  「怖いですねぇ」


男  「運転手さんもこういう怖い体験ってあります?」


女  「そういう身の危険を感じるような体験はないですけど、人を殺した事ならありますよ~。
    ついさっきもこの車を運転していた人を殺してトランクに押し込んだんです。
    どこに捨てようかな~って、場所を探してるんですけどね~。いい所ありませんか?」


男  「またまた~面白いねぇ~」

   と言いながら、私は運転手のネーム・プレートを見た。
   そこには太った中年の男の顔写真が微笑んでいた。  





作・我那覇孝淳(C)  

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2011年01月26日

やらしい言葉

猿顔男 「言葉って、不思議だよね」

豚面男 「なに、いきなり」

猿顔男 「普通の言葉なのに角度を変えると急にいやらしくなる言葉ってあるよね~」

河童男 「ほう。たとえば?」

猿顔男 「≪いやらしく≫ほとばしる」

河童男 「いやらしーーー!!」

豚面男 「何が?何がいやらしいの?『ほとばしる』の何がいやらしいの?」

猿顔男 「え?」
 
河童男 「いやいや。『ほとばしる』だよ?いやらしいだろが!」

豚面男 「何処が?」

猿顔男 「マジか?お前マジか?」

河童男 「これだから教養の無いヤツは困るんだよなぁぁ。あのな、よく聞けよ、、沖縄県那覇市古波蔵3丁目23−1にある漫湖と同じ名称でお馴染みの女性のアソコの部分は昔の言葉で『ほと』っていうんだよ。ほれを踏まえてもう一度聞けよ、師匠!お願いします」

猿顔男 「ほとばしる」
 
河童男 「いやらしー!!」

猿顔男 「まだあるよ、いやらしい言葉」

河童男 「聞かせて、聞かせて!」

猿顔男 「『あまんじる』」

河童男 「いやらしいー!じゃあ、これは、これは『ぬきんでる』」

猿顔男 「いやらしーー!」

豚面男 「ハイハイハイ!これは!?『かたくなる』」

猿・河童「んーーー」

猿顔男 「それは、ちょっとちがうな。ストレートだな」

豚面男 「じゃあ『ぬれている』」

河童男 「それもちがう」

豚面男 「『たっている』」

河童男 「ちがう」

豚面男 「なんだよ!わかんねーよ!何が違うんだよ!」

河童男 「『ほとばしる』も『あまんじる』も『ぬきんでる』もエロスの詫び寂びがあるんだよ。わかんねーかなぁ」
 
豚面男 「なんだよ!エロスの詫び寂びって!!」

猿顔男 「おし!じゃあ俺が『ほとばしる』と『あまんじる』と『ぬきんでる』を使った文章でエロスの詫び寂びを教えたる」

河童男 「お願いします!師匠!お前もお願いしないかい!」

豚面男 「お、お願いします」

猿顔男 「では、行きます。…アキコの細い指先が、己のつぼみを優しくつまみ上げた時、その濡れた花弁から糸を引くように『あまんじる』がしたたり落ち、秘密の割れ目を『ほとばしる』。その様子をフスマの隙間から覗き見ていたヨシオの未熟な肉棒は痛いほどにそびえ立ち、その先端から雄のエキスが『ぬきんでる』」

豚・河童 「いやらしぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

  

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2010年12月22日

木瓜の花が咲く頃に


爺   「長男の嫁の美代子さんは、私の事をボケ老人だと思っている節がある。私ももう79歳だ。たしかに時々、物忘れをする時もある。だからと言ってボケ老人扱いをするのは如何なものか。美代子さんは働き者で、実に良い嫁だ。13年前に夫が事故死して以来、この家に留まって私の面倒をみてくれている。それには感謝している。だが、ちょっとした物忘れでも、ボケ老人を見るような目付きで私を見る。アレが気に食わない。だから本当にボケたふりをして、美代子さんを困らせてやろう。と、今朝思いついた。………美代子さん!美代子さん!」

嫁   「はいはい。なんですか?おじいちゃん」

爺   「美代子さん。朝ご飯はまだかな。腹が減って腹がへってしょうがないんだが」

嫁   「あら!おじいちゃん、ごめんなさい。まだでした?ごめんなさい。今すぐ準備しますから」

爺   「え?いや、あの、美代子さん」

嫁   「すぐ出来ますから」

爺   「う~ん。そう来たか。私は今朝、ちゃんとご飯を食べた。本当に私がボケたと思っているのか。だんだん腹が立ってきた」

嫁   「出来ましたよ、おじいちゃん。はい、朝ご飯」

爺   「ん?何だこれは?私は今朝、食べたよ」

嫁   「え?召し上がりました?ごめんなさい。てっきりまだかと思っちゃた。すみません。片付けます」

爺   「今の目だ!あの目は私の事をボケ老人だと思っている!実に腹がたつ!美代子さん!!」

嫁   「はいはい」  

爺   「朝ご飯がまだ何だが!」

嫁   「あら!おじいちゃん、ごめんなさい。まだでした?ごめんなさい。今すぐ準備しますから」

爺   「おい!美代子さん」

嫁   「はい」

爺   「私を馬鹿にしているのか?」

嫁   「はい?」

爺   「今朝、私は朝ご飯を食べたぞ!」

嫁   「え?食べました?すみません。………ところで、どちら様ですか?」

爺   「ん?」

嫁   「貴方は、誰ですか?」

爺   「み、美代子さん?」

嫁   「すみません。おじいちゃんのお友達ですか?」

爺   「と、いう事なんですよ、先生。美代子さんは、一体どうなってしまったんですか?」

医者  「ん~若年性アルツハイマーかな~」

爺   「若年性アルツハイマー?という事は、美代子さんはボケてしまったんですか?」

医者  「いや、ちゃんと診断しないとわからないから、今度病院に連れてきてくれるかな?」

爺   「…解りました。じゃ、失礼します。なんて事だ…。美代子さんが………」

看護婦 「お大事に~。…先生」

医者  「ん?」

看護婦 「大変ですね、あのおじいちゃん。自分よりも年下の痴呆症の介護をしないといけないなんて。介護問題もここまでくると、なんか切ないですね」

医者  「あのおじいちゃんね」

看護婦 「はい」

医者  「一人暮らしなんだよ。来年の2月ごろ、施設に行く予定なんだ」

看護婦 「…そうですか。木瓜の花が咲く頃ですね………」



作・我那覇孝淳(C)  

2010年12月17日

恐怖のフライト           

WATR航空864便にご搭乗の皆様、有難う御座います。
機長でございます。
当機は羽田発シンガポール行き、飛行時間は6時間35分の予定でございますが、えー…急遽、到着地を変更いたします。
皆様には大変、ご迷惑をおかけ致します。

えー、新しい到着場所を申し上げる前に、私の話を少しお聞きください。
えー…。
あ、当機は安定した気流に乗りましたので、シートベルトをお外しください。
シートベルトをお外し下さい。

えー、実は…私、今朝、思うところが有りまして、妻を刺し殺して参りました……。
えー…半年ほど前に、長年連れ添った妻と…えー…離婚を…離婚を致しました。
妻とは、結婚をして15年になります。
えー…私は妻を愛していましたし、妻もまた、私の事を愛していると信じておりました。
えー…、離婚は妻の方からの申し出で御座いました。
青天の霹靂とはこの事で御座います。
理由を問いただした所、他に男が出来たと…出来たと、いう事で、して。
その男と一緒になりたいという申し出で御座いました。
その言葉を残して妻が出て行ったのが半年前の事で御座います。
この半年間、私はなんとか妻との仲を修復しようと試みたのですが、駄目でした。
妻の意志はかたく、浮気をしたその男と、年が明けて結婚すると申しておりました。

その間男は、海外で宝石の買い付けをしているバイヤーで御座います。
その男が二十歳そこそこの若い燕なら納得はしないが理解はできます。
が!そいつは私と年も変わらない中年なのでございます。
何故、妻は私よりも、そんな男を選んだのか…。

私は妻の、妻の浮気の、浮気の相手が皆様がご搭乗のこの864便に乗るという事を知ってしまいました。
そして、偶然にも私がフライトを担当するという事も。
そのような理由で私は、妻を殺し、あの男を殺し、自ら命を絶とうと決心致した次第で御座います。

座席番号A023にお座りの大河内春男様、大河内春男様。
私は、旧姓、二ノ宮小枝の元夫、二ノ宮吉信で御座います。
副機長の田中操縦士は皆様より先に旅立ちました。


それでは、新しい到着地をお知らせ致します。
当機はこれより、天国、ないし地獄へ向かいます。
天国、ないし地獄へ向かいます。
WATR航空864便にご搭乗の皆様、人生最後の快適な空の旅をお楽しみ下さい。


機長でした。



 作・我那覇孝淳(C)  

2010年12月01日

『戦場カメラマン・ワタナベ!』 

渡辺 「(早口気味で)それで、今年の9月にアフガニスタンに取材に行ったんですよ。僕が現地に到着すると、もう既に米軍とタリバーンがドンパチやってるんですね。そこで、一番衝撃を受けたのは、タリバーンがアフガニスタンで造られた学校を破壊していると言う事なんです」

女性D「学校を?」

渡辺 「はい。アフガニスタンはイスラム教の世界ですから、伝統的に女の人が学んではいけないという考えがあるんです。それで、女性が知的な教育が出来ない様に学校を破壊しているんです」

女性D「酷いですね。渡辺さんて、実際に会うとテレビで見る時と印象が違いますね」

渡辺 「そうですか?」

女性D「はい。けっこう早口なので。テレビで拝見する時はもっと落ち着いていると言うか」

渡辺 「テレビではゆっくり喋るからですよ。アレはキャラですよ。キャラ」

女性D「やっぱりそうなんですか」

渡辺 「そうですよ。あんなにゆっくり喋ってたら、戦場では生きては行きませんよ。でも、僕はこういう形で皆さんが注目して下さる事に本当に有り難く思ってます。だって、そのお陰で日本人に世界の戦場をリアルを伝える事ができますから。僕がこういう風に有名になったのは、使命だと思っています」

AD 「スタンバイ、オッケーでーす」

女性D「あ、準備出来たみたいですね。それじゃ、渡辺さん、始めましょうか。今日はですね、沖縄のラジオ番組『わったーラジオ』のMCこきざみインディアンに渡辺さんから応援メッセージを送って頂たいんですよ。原稿はこちらで用意したので、これを読んで下さい」

渡辺 「これを読めばいいんですね」

女性D「はい。じゃ、早速行きましょうか。本番!3,2,1!」

渡辺 「わったー……ラジオを……お聞きの……皆さん……こんばんは。戦場……カメラマンの……渡辺、」

女性D「すみません、すいません」

渡辺 「はいはいはい?」

女性D「もう少し早く喋ってもらえますか?ちょっと、尺が足りないので」

渡辺 「あ、もうちょっと早く?はい。わかりました」

女性D「本番!3,2,1!」

渡辺 「わったー…ラジオを…お聞きの……皆さん……こんばんは。戦場……カメラマンの……渡辺」

女性D「すみません!渡辺さん。全然変わってないので、もうちょっと早く」

渡辺 「もっと早く、ですか?」

女性D「はい。時間がちょっと足りないので、早口でお願いします」

渡辺 「いや、早口でって言ったって、僕にはキャラがあるし」

女性D「それ!それくらいの早口で行きましょう。3,2,1、ハイ!」

渡辺 「わったーラジオをお聞きの皆さんこんばんは。戦場カメラマンの渡辺、イヤイヤイヤ。これはちょっと。誰だかわかんないよ、これじゃあ、偽物だと思われちゃうよ。世間はスローな渡辺を求めているんだから、これじゃあ、偽物だと思われちゃうよ!」

女性D「…わかりました。じゃあ、こっちで何とかしますので、好きなようにやって下さい」

渡辺 「なんかすみませんね。我儘言っちゃって」

女性D「3,2,1」

渡辺 「わったー………ラジオを……お聞きの……皆さん………こんばんは。戦場……カメラマンの……渡辺…………陽三郎です」

女性D「にせもの!」


  

2010年11月06日

『風邪なんです』

客  「あの~、すいません」

店員 「いらっしゃいませ。薬なら何でも揃う、ドラッグ・ストア『オカモトツヨシ』にようこそ。何でも揃うと言っても、合法的な範囲で、ですけどね~」

客  「風邪薬って、どこに有りますか?」

店員 「風邪薬ですか?え~と、この棚が風邪薬のコーナーになりますね。熱はありますか?」

客  「ちょっと、微熱が」

店員 「そうですか。では、これなんかどうですか?即効性が有りますけど」

客  「へぇ~。あ、コレは、どんなヤツですか?」

店員 「こちらは、喉の痛みを和らげる薬です」

客  「コレは?」

店員 「こちらは、頭痛薬です」

客  「コレは?」

店員 「これは喉の薬ですね」

客  「コレは?」

店員 「解熱と痛み止です」

客  「コレは?」

店員 「関節痛の薬です」

客  「コレは?」

店員 「滋養強壮剤です」

客  「コレは?」

店員 「鼻炎の薬です」

客  「コレは?」

店員 「これも頭痛薬」

客  「コレは?」

店員 「咳止めです」

客  「コレは?」

店員 「頭痛薬です」

客  「コレは?」

店員 「解熱剤」

客  「コレは?」

店員 「咳止め」

客  「コレは」

店員 「解熱剤」

客  「コレは?」

店員 「咳止め」

客  「コレは」

店員 「解熱剤」

客  「コレは?」

店員 「咳止め」

客  「コレは」

店員 「バイアグラです」

客  「あ、これがバイアグラなんだ。へぇ~。そうか。ふ~ん……そっかそっか…。コレにしようかな…」

店員 「あの、風邪なんですよね?バイアグラは風邪には効きませんよ」

客  「ですよね。あ、すいません。風邪のマスク有ります?ついでに買っておこうかな」

店員 「はい、マスクはここの棚になります」

客  「うわぁ。いろんなマスクが有るんですね。コレは、どんなヤツですか?」

店員 「こちらは二重構造になってまして、二段階でウイルスをシャット・アウトできます」

客  「へぇ~。コレは?」

店員 「こちらは、工業用の粉塵マスクですね。通気性は抜群です」

客  「へぇ~。やっぱり通気性は良いほうがいいなぁ。コレは?」

店員 「コンドームです」

客  「え?これ、コンドーム!へぇ…最近はパッケージがお洒落ですね…。ふ~ん。そうか。ふ~ん……そっかそっか…。コレにしようかな…通気性が良さそうだし………」

店員 「良くないですよ、通気性は。コンドームですから。風邪なんですよね?」

客  「ごほごほ。そうなんですよ。やばい、だんだん気分が悪くなってきた。すみません、さっきの解熱剤と二重構造のマスクを買って帰ります。それと、この電動歯ブラシもお願いします」

店員 「それは、ピンク・ローターですよ」

客  「へぇぇ~。これがピンク・ローター!へぇ~、これが…、初めて見た…。いててて…、頭がドンドン痛くなって、なんだか、朦朧としてきましたね~~。コレ、朦朧としてきましたね~…いつつつつ…。もう、何が何だかわかんなくなってきちゃった…」

店員 「大丈夫ですか?」

客  「すみません。じゃあ、この風邪薬と予防マスクと電動歯ブラシ買って帰ります」

店員 「バイアグラとコンドームとピンク・ローターですね。1万4千5百円になります」

客  「ああ~わけわかんないなぁ。頭いたいなぁ。はい、二万円。おつりはいいです。ああ、頭いたいなぁぁぁぁぁ~~」

店員 「有難う御座いました!」
  

2010年10月30日

『考える葦』 


「人間は考える葦である」と言ったのはパスカルだが、私に言わせれば、ん?パステルではない!パスカルだ。
パスカルも知らないのか。
君はこの仕事を軽んじているのか?
一人前になりたければ勉強をしなさい。

どこまで話した?
そうそう「人間は考える葦である」だ。
だが私に言わせれば多くの人間は「考えない葦」なのだよ。
いいか、我々詐欺師の最初の仕事はこの「考えない葦」を探す事なのだ。
その足じゃない!葦と言うのはイネ科の植物のことで…まぁいい。
教養の無い者に時間を割くほど、私は暇では無い。

どこまで話した?
そうそう、我々詐欺師が初めに取り掛かる仕事は「考えない葦」を探す事だ。
人間は当たり前の事については意味を考えず、分析もせず、無意識の内に行動している。
白衣の医者が腹を見せろ、と言えば何の疑いも持たずに、腹をさらけ出すし、トイレに清掃中の看板が立っていれば、疑問も持たずに中には入らない。
当たり前の事は考えない。
日常生活で人間は「考えない葦」として生活しているのだ。

だが、我々詐欺師は違う。
常に時代を読み、考え続けている。
「考える葦」たる我々が「考えない葦」共の金品を貰い受けるのは当然の事なのだ。

オレオレ詐欺を世界で一番最初にやったのは、この私だ。
ネズミ講を最初にやったのも、勿論私だ。
だが私は一度も捕まった事はない。
何故だか解るかね?
それは誰も思いつかなった事を世界で最初にやったからだ。
誰も思い付かないのだから防ぎようが無い。
そして世間が警戒し始めたら、さっさと身を引く。
捕まるのは、いつも後から真似した詐欺師ばかりだ。
私に言わせればこいつらも「考えない葦」なのさ。

私も、もう年で詐欺の世界から引退したのだが、この通り頭ははっきりしていてね。
次から次へと詐欺の手口を思い付くんだよ。
つい先日もツイッターと電子マネーを使った画期的な詐欺を思い付いてね。
この手口は防ぎようが無い。
何故ならばまだ誰も警戒していないからね。
今なら幾らでも儲ける事が出来る。

ん?ああ、幾らでもだ!ほほう、やってはみたいのかね?
ほぉう「考える葦」になりたいのか?
なにせ、ツイッターを使った詐欺だ。
ターゲットは全世界に及ぶ。
まだ、世界中で誰もやった事の無い手口だからね。
死ぬほど儲ける事ができる。

…まぁ、二百万あれば手口を教えてやらんでも無いが。

準備出来るかね?



作・我那覇孝淳(C)



  

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2010年10月27日

恐怖のサークル 



ラ王 「あの、ナナミンさんですか?」

ナナ 「はい。あなたは?」

ラ王 「僕は平成ラ王です」

ナナ 「あ、平成ラ王さんですか?初めまして、ナナミンです」

ラ王 「初めまして、他のみんなは、まだ…」

ナナ 「まだ来てないんですよ」

ラ王 「そうですか。もう時間なのに」

ナナ 「今日は、何処でキャンプなんですか?」

ラ王 「え?場所、聞いてない?」

ナナ 「はい」

ラ王 「そう…ですか。ま、着いてからのお楽しみって事で」

ナナ 「はぁ…。私、初めてなんですよ。ソーシャル、えーと、ソーシャル」

ラ王 「ソーシャル・ネットワーク・サービスMAXI」

ナナ 「そうそう、ソレ。周りの友達はみんなMAXIやってて、面白いからって勧められた
んですけど、」

ラ王 「へー。どうして、うちのサークルに?」

ナナ 「『ドキドキする事を探すサークル』って書かれてたから」

ラ王 「OFF会を目的にしたサークルって沢山あるけど、ウチらは『ドキドキする事』がメ
インのサークルだからね」

ナナ 「OFF会って?」

ラ王 「え?OFF会知らないの?」

ナナ 「すみません」

ラ王 「いえいえ、何ていうかな、ネットで知り合った者たちで、実際に有って、遊んだり
するっていう、まぁ、そんな集まりです」

ナナ 「そうですか。よくやるんですか?OFF会って」

ラ王 「いや、今日は久しぶりのOFF会だよ。ナナミンさんが入会したんでね。一年ぶりじゃないかな、新しいメンバーが増えたのは。だからね、今日はナナミンさんの親睦会も兼ねてるんだよ」

ナナ 「でも、OFF会って、知らない人同士が会うんですよね?危なくないですか?ほら、最近」

ラ王 「ん?最近?ああ、最近起こったバラバラ殺人事件の事?」

ナナ 「はい。あれも、ネットで知り合った者同士がどうのこうのってニュースで」

ラ王 「まぁ、そういう危険性も否定出来ないけどね。って、ナナミンさんも、参加してるし(笑)」

ナナ 「管理人が女性だったんで。それに、ドキドキするのが好きなんですよ」

ラ王 「もし、僕がその犯人だったらどうする?まだ捕まってないみたいだし」

ナナ 「え?もー、よしてくださいよ~(笑)何処でキャンプするんだろう。楽しみだなぁ」

 森のSE
 一時間後。

ラ王 「おかしいなぁ…。集合時間一時間も過ぎてるのに誰も来ない」

ナナ 「こういう事って良くあるんですか?」

ラ王 「いいえ、無いですよ、こんな非常識な事…。もう僕、帰ります」

ナナ 「え?」

ラ王 「信じられないな。ちゃんと時間は守ってもらわないと。もう、僕は行きません。どうします?ナナミンさんはまだ待ちます?」

ナナ 「どうしようかな」

ラ王 「僕、車で来たんで、なんなら送りますけど」

ナナ 「そう、ですね。中止になったんなら中止になったって連絡くらいしてもいいのに。送っていってもらえますか?」

ラ王 「いいですよ」


 車の発進音。
 車内。

ナナ 「すみません、わざわざ」

ラ王 「……いえ」

ナナ 「『ドキドキ・サークル』のメンバーって、こんなに時間にルーズなんですか?」

ラ王 「………」

ナナ 「平成ラ王さん?」

ラ王 「………」

ナナ 「『ドキドキ・サークル』ってそのまんまの名前ですね。みんなでドキドキする事をやろーって、いう…。あの、平成ラ王さん?」

ラ王 「………」

ナナ 「で、でも、残念だったなぁ。また有りますかね、OFF会…」

ラ王 「どうですかね…」

ナナ 「アノ…、平成ラ王さん?」

ラ王 「何?」

ナナ 「何処に向ってるんですか?」

ラ王 「何処って山の中だよ」

ナナ 「え?」

ラ王 「馬鹿な女だな。簡単にネットで知り合ったやつにホイホイ会うからこうなるんだよ」

ナナ 「平成ラ王さん?どうしたんですか?」

ラ王 「最近バラバラ殺人事件が起こってるって、さっき話したよね」

ナナ 「なに言ってるの?」

ラ王 「で、もし、犯人が俺だったらどうする?って聞いたよね?」

ナナ 「…あなたが?バラバラ殺人の」

ラ王 「どこからバラしちゃおうかな~」

ナナ 「止まりなさい…」

ラ王 「怖い?いひひひひ。怖い?いひひひひ」

ナナ 「早く、止まりなさい…」

ラ王 「いひひひひひひひひひひひ」

ナナ 「止まりなさい!私はナニガシ県警刑事課、日暮七海23歳!!とうとう見つけたわバラバラ殺人犯!早く止めないと、右のコメカミから左のコメカミをニューナンブの弾丸が貫通するわよ!」

ラ王 「え?」

ナナ 「嘘だと思ってんの!(ピストルを出す)ほら!」

ラ王 「えええええええ!!嘘嘘嘘!これ、嘘!!」

ナナ 「嘘って何よ!!」

ラ王 「これ、『ドキドキ・サークル』の企画っていうか、イベントっていうか!」

ナナ 「はぁ?」

ラ王 「新しく入ってきたメンバーに、ドッキリを仕掛けてたの!これドッキリ!」

ナナ 「嘘ぶっこいてんじゃねーよ!」

ラ王 「嘘ぶっこいてないよ~~!」

 夜虫の音
 キャンプ場。

管理人「平成ラ王さん、うまく行ってるかしら」

男  「でも、悪趣味なおもてなしだよね、怒んないかな、ナナミンさん」

管理人「 フフフフ。さ、平成ラ王さんとナナミンさんが来るまでに準備をすませましょ。久しぶりのOFF会だから今日は盛り上げるぞー!!」


                    作・我那覇孝淳(C)  

2010年10月24日

ハチノス

男1  「うわぁ。先輩…」

男2  「どうした」

男1  「これは、また…」

男2  「びびってんのか」

男1  「いえ、びびってるっていうか、でっかいですね~。写メ撮っていいスか?」

男2  「駆除してからな」

男1  「それにしても、でかいですね」

男2  「うん。おれも、ココまでデカイ、スズメ蜂の巣は見たことない」

男1  「入りますかね、収納ボックスに。割って入れますか?」

男2  「いや、たしか四号サイズのボックスが有った筈だから、それに収納しよう。ここまで立派だと壊
すのは勿体ない。綺麗に洗浄して、オフィスに飾ろう。社長、喜ぶぞ」

男1  「そうスね。いやぁぁ、ほんとにデカイすね。30キロは有るんじゃないですか?」

男2  「俺も害虫駆除の仕事をして長いけど、ここまでデカイ、スズメ蜂の巣は初めてだな」

男1  「しかし、こんなにデカイと、気持ち悪いですね」

男2  「脳味噌みたいだな」

男1  「え?」

男2  「いびつな球体に、この波打った模様。なんか、脳味噌みたいじゃないか?蜂の巣って」

男1  「ん~。言われてみれば、そんな感じはしますけど」

男2  「俺、前々から思ってたんだよな~。スズメバチの巣って脳味噌みたいだって」

男1  「変なこと考えますね」

男2  「おし、この馬鹿デカイ蜂の巣をボックスに入れて、次の現場に行こう。壊さないように入れろ
よ」

男1  「はい」


蜂の巣 「…驚いたな。まさか感づいてしまう地球人がいようとは。女王蜂が蜂達を支配していると地球人たちは思っているが、実は違う。蜂達を支配しているのは、我々、ハチノスなのだ。女王蜂は兵士達を製造する工場にすぎない。我々はこの美しい星、地球を支配する為にやってきた。この星の原住民の言葉を借りれば、エイリアンだ。なぜ、我々が支配に踏み切ったのか?それは、この星、地球が望んだからだ。人類は地球を破滅に導いている。もう、人類に地球を支配させるわけにはいかない。まず、我々は手始めに社会性と序列が整っている生物、蜂を支配した。蜂のDNAに入り込み、世界中の蜂を殲滅し、生態を乗っ取った。そして、蜂の巣に身体を変えて、蜂達をコントロールしているのだ。つまり、蜂の巣の形をした我々は、蜂達の司令塔、脳味噌といってもいい。今、全世界にいる蜂は全て、我々べッチョ・ベロンチョ・ベロマッチョ・パパポイ・ポポイ・ポポマッチョ星人なのだ。我々べッチョ・ベロンチョ・ベロマッチョ・パパポイ・ポポイ・ポポマッチョ星人は蜂の巣に姿を変えてこの地球を、うげ!!」


男1  「あ!!」

男2  「どうした」

男1  「すみません。蜂の巣、われちゃいました」

男2  「も~。気をつけろって言ったのに!」




                        作 我那覇孝淳(C)

  

2010年10月19日

Time・is・money 

男   「はぁ、昨日、給料日だったのに、もう金欠だぁ。なんて思いながらブラブラ歩いてると目につくのは消費者金融のカンバン。何々?金利1.5%で身元審査不要?無茶苦茶怪しいじゃないか!と、思いつつも店内に入っていく俺って、ほんとダメ男。すみませーん」

アコギ 「いらっしゃいませ。信頼の貸金融、アコギで御座います」

男   「お金を借りたいんですけど」

アコギ 「有難う御座います。お幾らのご希望ですか?」

男   「あのう、一万円で」

アコギ 「かしこまりました。どうぞ、一万円で御座います」

男   「うわ、ほんとにあっさり借りれた。あのう、金利1.5%ってホントですか?」

アコギ 「はい。当店は秒利息1.5%で御座います」

男   「え?びょうりそく?何ですか?びょうりそくって…」

アコギ 「1秒で1.5%の利息で御座います」

男   「1秒で1.5パー?って事は、え?一万円借りたら、1秒でいくらですか?」

アコギ 「一万円のご利用ですと、1秒150円の利子で御座います」

男   「一秒150円!!い、今はいくらに成ってます?」

アコギ 「はい。只今32秒経ちましたので4800円の利息で御座います。と言ってる内に5550円の利息です。と言ってる内に6150円で御座います。と言ってる内に」

男   「ちょちょちょっとまって!返します返します!はい、一万円」

アコギ 「有難う御座います。一万円のご返済ですね。利息分を引きまして、元金は残り6750円で御座います」

男   「えーー。残り6750円!因みに利息は幾らに成ってます?」

アコギ 「6750円のご利用なので、1秒で101円で御座います」

男   「1秒、101円!!どどどどどうしよう!」

アコギ 「お隣に、情熱の貸金融、ライフルが御座いますが」

男   「ちょっと待って!!急げ急げ急げー!す、すみませーん!」

ライフル「いらっしゃいませ、情熱の貸金融、ライフルで御座います」

男   「あの、一万円貸してください」

ライフル「かしこまりました。一万円で御座います。当店は秒利息2%で御座います」

男   「ええ!秒利2パー!ちょちょちょっと待ってて!急げ急げ急げ!すみませーん!」

アコギ 「いらっしゃいませ。信頼の貸金融、アコギで御座います」

男   「はい!一万円!返します!」

アコギ 「有難う御座います。324秒掛かってますので、只今の利息32724円で御座います。返済金一万円を引きまして只今ご利息22724円で御座います」

男   「ニ万円!!ちょっと待ってて!急げ急げ急げー!すみませーーん!」

ライフル「いらっしゃいませ、情熱の貸金融、ライフ、」

男   「すみません!三万円、いや!それじゃ足りない!10万円貸して下さい!」

ライフル「かしこまりました。お客様、只今、12万4800円になってますが」

男   「ええー!ちょちょっと待ってて!急げ急げ急げー!!すみませ~~ん」

アコギ 「信頼の貸金融、アコギで御座います」

男   「12万、イヤ!15万貸してください!」

アコギ 「かしこまりました。お客様、只今、9万3930円になってますが」

男   「えええ!ととと取り敢えず、15万貸して下さい!」

アコギ 「かしこまりました」

男   「急げ急げ急げー!すみませーーん!!」

ライフル「本日の営業は終了しました。また明日、お越しください」

男   「ノーーーー!」 

アコギ・ライフル 「ご利用は、計画的に!」
  

2010年10月05日

黒子



父はフラス人。母は元タカラ・ジェンヌ。
父の家系を遡れば、ブルボン王朝の貴族に辿り着く。
つまり、ボクには僅かながら貴族の血が混じっている。
母は日本人とドイツ人のハーフ。ボクの身体は日本人の血よりも、欧米人の血が色濃く混ざっている。
だから、ボクの目鼻立ちは整っている。
幼い頃から可愛い可愛いと言われ、いつしか綺麗な顔だね、と言われるようになった。
綺麗だといわれる事に慣れたのは、つい最近だ。
男の癖に綺麗な顔だと言われる事にずっと抵抗が有った。
色白で長身。栗毛色の柔らかい髪。青みのかかった澄んだ瞳。筋の通った高い鼻。笑うとくっきり浮き出る笑窪。そして、鼻の下にある小さな黒子。

…ボクには好きなモノがある。
ボクはそれを愛している。
ボクがこの世で愛して止まないモノ。
それは鏡の中にある。
ボクはそれを見る為に毎日、鏡を見る。
人はボクの事をナルシストだというだろう。
だけどボクは、自分の顔が嫌いなのだ。
男のクセに整い過ぎている顔立ちに嫌悪感を覚える。
ならば何故、鏡を見るのか?それは、鼻の下の小さな黒子を見る為なのだ。
完璧に近い顔にただ一点、鼻の下の溝、人中と呼ばれる所に薄くて小さな黒子がある。
この黒子がボクの完璧な容貌のバランスを崩している。
この黒子があるから、美しすぎる自分の顔を見る事ができるのだ。
ボクは毎日鏡を見る度に思う。もっと濃くなればいいのに、もっと大きくなればいいのに。
それは一種の破壊願望なのかも知れない。
そうやって、愛情を注いで、自分の黒子を観察して行く内に、いつしかボクは黒子を愛してしまった。
そう、ボクがこの世で愛して愛して止まないもの、それは鼻の下の黒子だ。
黒子への愛に目覚めて以来、ボクは人を愛する事が出来なくなった。
今まで何度か告白されたが全て断った。
一度学校一の美女、アミに告白された事がある。勿論それも断った。
学校一の美女、アミには予想外の出来事だったのだろう。
その後、アミはしばらく学校を休んでいた。
ほどなくして、あいつはホモだよ。
そんな噂が流れ始めた。
恐らく、アミが流したのだろう。


そんなある日、一人の女生徒が転校してきた。
彼女は色黒で肩幅が大きくて、どこかゴリラを連想させた。
そして彼女はボクの隣の席に座る事になった。

「よろしくね」

    
ゴリラ女はボクに話しかけてきた。
ボクは宜しくと、愛想笑いをしようとした。
ゴリラの様な顔だからと言って、無視するのは紳士的じゃない。
たとえゴリラの様な顔でも・・・。
ボクは、笑顔でゴリラ女を見た。
その時だった。
今までに味わった事の無い衝撃を受けたのは。
ボクは、彼女に、恋をした。
彼女の鼻の下には濃くて大きな黒子があったからだ!
ボクの理想の黒子が!
ボクはその黒子に、恋をした!

「あの・・・」
「はい?」
「好きです、ボクと付き合って下さい」
「御免なさい。タイプじゃないんで」
   
何を言ってるんだろう、このゴリラ女は。
何故、このゴリラは人の言葉を喋るんだろう。
ボクは、そう思った。


        我那覇孝淳(C)  

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2010年10月01日

一人旅 

宿屋  「すみません。うちは女性一人の方はお断りしてるんですよ。すみませんが…」

女   「そうですか。解りました………。また断られた。最近は自殺者が多いせいか、私みたいな一人旅の女は容易に泊めてはくれない。今の民宿で三軒目だ。9月に入って貰った遅い夏休みを利用して、羽を休めようと、この長閑(のどか)な山村に来たのに…。『女性の一人旅は予約なしでイキナリ宿を取るのは難しい』と、何かの雑誌に書いてあったけど、本当だ。理由は自殺。泊まった宿で自殺をする人が意外と多いらしい。だから民宿側も、私みたいな一人旅の女には警戒する。仕方が無い。町まで戻ってビジネスホテルに泊まろう。私は、この村に一つしかないバス停にやってきた。そこには私と同じ年くらいの女の人がいた」

女2  「あ、どうも。村の人?…じゃ、無いよね」

女   「はい。今日、ここに来たんですけど、どこも泊めてくれなくて」

女2  「私も~~!もう!ムカつくよね!一人じゃ泊められませんって!他の民宿は私の事無視したりするのよ!もう、信じらんない!だからビジネス・ホテルに行こうと思ったのに!見て!この時刻表!バス、一時間半で一本しかない」

女   「ホントだ」

女2  「で、10分前に一本出てるの!」

女   「ええ!」

女2  「次に来るのは19時35分。もう日が暮れちゃうよ」

女   「あの」

女2  「何?」

女   「一緒に泊まりませんか?」

女2  「え?」

女   「二人で旅行に来たって言う事にして。だったら泊めてくれるかも」

女2  「ああ!なるほど!それいい!そうしよう!私、ナカンダカリ アカリ」

女   「沖縄の人ですか?」

女2  「そう」

女   「私、ヒガシオンナ カンナ」

女2  「ええ!沖縄?」

女   「はい!………と、いう事で偶然であった同郷の人とタッグを組んで、私たちは再び宿屋に乗り込んだ」

宿屋  「申し訳ありません。うちでは泊める事はできません。何度きてもらっても無理です。他所に行って下さい」

女   「え?ダメなんですか?」

宿屋  「はい」

女   「そうですか。解りました…」

宿屋  「最近、自殺者が増えている。あの女性の霊もそうだ。さっき泊めてくれと頼みに来たのを追い返したのに、今度は何処で会ったのは知らないが、同じ自殺霊をつれてきてしまった。きっと自分が死んだ事に気づいていないのかもしれない。多分、発作的に自殺をしてしまったのだろう。死ぬ覚悟をしないうちに自殺をしてしまった霊は、あの女性のように死を自覚しない。だから、死んだ人間と生きている人間の区別が付かないのだ。私のようにちゃんと死なないから、そうなるのだ」

    
           我那覇孝淳(C)  

2010年09月26日

『悪魔のストラップ』  

弟   「あれ?姉ちゃん、珍しいね。日曜日なのに家に居るなんて」

姉   「だって、予定無いもん」

弟   「デートは?毎週毎週、彼氏と出歩いてたのに」

姉   「別れた」

弟   「また?付き合ったばかりでしょ?」

姉   「だって、いい男、見つけちゃったんだもん」

弟   「見つけちゃったって…。今度の彼氏、原子力発電会社で働いてるエリート社員で、金持ちだったんだろ?」

姉   「そ。ご飯奢ってもらったり、バック買って貰ったり、旅行に連れて行ってもらったりしたけど、やっぱイイ男には叶わないね。愛って、お金じゃないのよ。最終的に」

弟   「まったく…。いつか刺されるよ、そんな事ばっかりしてたら。でも、良く別れられたね」

姉   「まあね。さんざん泣きつかれたけど、最後にコレ貰っちゃた」

弟   「なに?」

姉   「天然石のパワー・ストーンで作ったストラップ。でも、石が取れちゃった。多分、手作りだね」

弟   「パワー・ストーン?」

姉   「短い間だったけど、君は僕が本当に愛した人だから、いつまでも幸せでいて欲しいって。この石、あげる」

弟   「え?」

姉   「だって、別れた男のモノだよ?気持ち悪いもん」

弟   「絶対に刺されるよ」

姉   「それよりあんた、どっか行くの?」

弟   「おう。これからデート。じゃあね。……ミユキちゃん」

女   「ん?」

弟   「今日は楽しかったね」

女   「うん」

弟   「もっと一緒に居たかったけど、御免ね。これからバイトだから」

女   「も~。今度はバイトが無い日にデートに誘ってよ」

弟   「ごめん、ごめん。お詫びにコレあげるから」

女   「何?」

弟   「パワー・ストーン」

女   「ほんと!見せて!ああ!ちょうどいい!!こんなの探してたんだ」

弟   「良かった」

女   「お兄ちゃんが、来月誕生だから、手作りネックレスを作ってたの。天然石を探してたんだよ」

弟   「ホント!良かった!じゃ、バイト行ってくる!じゃあね!」

女   「うん。今度はちゃんと時間つくってよーー!…綺麗なパワーストーンだなぁ。…お兄ちゃん、誕生日おめでとう。はい、プレゼント。手作りのネックレスだけど気に入るかな」

男   「ん?ありがと」

女   「付けてみて!お!似合う似合う!…どうしたの?最近元気が無いけど…」

男   「彼女と…別れた…」

女   「えええ!!初めての彼女だったのに!」

男   「きくしょう!!バーバリーのバックも買ってやったのに!海外旅行でモナコにも連れて行ったのに!ちくしょう!」

女   「そうか…、元気だして!」

男   「でも、いいんだ。復讐してやったから」

女   「復讐?」

男   「アイツに、ウランで作ったストラップをあげたんだ」

女   「ウラン?」

男   「あのストラップを持っていたら、放射能を浴び続けて身体がボロボロになる。ざまぁみろ。はぁ。話したらスッキリしたな。ネックレス有り難うね」

  

2010年09月20日

ストレス発散秘密倶楽部


男  「大手デパートのクレーム処理課に勤めてもう15年。私は毎日毎日さまざまなお客様のクレームを対処している。クレームと言ってもおざなりには出来ない。何故ならば、会社をより良くする為の材料が、そこには隠れているからだ。常識では考えられないクレームを言いつけてくるお客様もいる。この前も大福の中に金属が入っていたというクレームがあったが、金属はその人の歯の詰め物だった。それくらいは良いとして、受付の女子社員の笑顔を自分だけに独占させろ、と言うお客様がいたりする。異常なクレームの背後にはお客様の異常な欲望が見え隠れする。そんなクレームを15年も処理し続けている私に、さぞかしストレスが溜まるでしょうと部下は言う。だが、私には誰にも言えないストレス発散法がある。それは週に一度、秘密倶楽部に行く事だ」

マダム「いらっしゃい。今日は、どんなプレイをご所望?」

男  「いつもの様に、マダムに任せるよ。とびきり興奮するやつを」

マダム「だったら、処女のメス豚と交わってみる?」
 
男  「ぶたぁ?」

マダム「異常に興奮するわよ」

男  「そうかなぁ。まぁ、マダムが薦めるんなら………。という事で、私はストレス発散の為に処女のメス豚と一戦交わる事にした。いつもの様に秘密の部屋に通されると、其処には一匹の豚がブヒブヒ啼いていた。私は素っ裸になり、ブヒブヒ啼くメス豚と必死になって挑みかかったが、結局、事を成し遂げる事は出来なかった。しかし、それでいいのだ。私の目的は、豚とセックスをする事ではなく、誰にも見せられない姿で暴れ回ること。それが、私のストレス発散法なのだ。そしてまた一週間、仕事に精を出し、ストレスが溜まれば、あの秘密倶楽部に行く」

マダム「いらっしゃい。先日のメス豚プレイ、いかがでした?」

男  「いやぁぁ。ははは。疲れたけど、なかなか面白かったよ。今日はアレよりももっと面白い事をしたいんだが」

マダム「かしこまりました。では、この仮面を被ってこちらへ…」

男  「マダムから渡された不気味な仮面を被って、案内された場所は、小さな個室だった。そこには、私と同じような仮面を被った男が、マジック・ミラーを凝視していた。この男も私と同じでストレスを抱えているのだろう。マジック・ミラーの向こうの部屋では、私たちが見ているのも知らずに、太ったオバサンが卑部に棒を突っ込み、素っ裸で踊り狂っていた。なるほど、今日は変態ショーを見てストレス発散か。それも悪くない。私は、マジック・ミラーを見ている男に話しかけた…。ははは、面白いですね。」

男2 「いやぁ、先週のメス豚といちゃついてる男の方が面白かったよ」
  

2010年09月13日

スタジオ・ジブリン

女  「私は幼い頃からアニメが大好きだった。いつか、アニメーターになってやる!それが私の夢だった。そしてついに念願かなって、スタジオ【ジブリン】に就職する事ができた!『美女の宅配便』や『崖の上の下の横の神隠し』や『一人暮らしのアリエッティのスバゲッティ』を制作しているアニメ・スタジオ【ジブリン】に。今日は初出勤の日。私は気合を入れて出社した。作業場に入ると、本や紙があたり一面に散乱していて、足の踏み場もない。そこには男の人がひとり、黙々とパソコンを睨みながら作業をしていた。さぁ、元気よく挨拶をしなくっちゃ!………おはようございます!…あの、おはようございます!」

男  「ああ。聞こえてるよ。新人の子だよね。今、手が離せないから、適当に座ってて。散らかってるから足元に気をつけてね。転ばないように」

女  「はい」

転倒の音。

女  「きゃ!いたたたた」

男  「おい!」

女  「すみません!」

男  「もう一回!もう一回やってみろ!」

女  「はい?」

男  「今のコケっぷり!素晴らしいコケっぷりだった!今、『哀愁漂う40歳独身女』が転ぶシーンを描いてるんだけど、なかなか上手く描けなくて困ってたんだ!今の君のコケっぷりは正に僕が追い求めていた『哀愁漂う40歳独身女』のコケっぷりだった!見事なコケっぷりだった!さあ!もう一度!」

女  「は、はい!」

転倒の音。

女  「いたたたたた」

男  「素晴らしい!今度はフェイシングをやってくれ!このペンを剣の代わりに持って、シュッ、シュッ!って!シュッ、シュッ!って!」

女  「え?」

男  「早く!シュッ、シュッ!って!シュッ、シュッ!ってフェイシングを!」

女  「は、はい。シュッ、シュッ!シュッ、シュッ!」

男  「いいよー!もっとー!」

女  「シュッ、シュッ!」

男  「もっと!!」

女  「シュッ、シュッ!」

男  「もっと!!!」

女  「シュッ、シュッ!私、昔。シュッ、シュッ!フェイシングやってたんです。シュッ、シュッ!」

男  「素晴らしい!!これで『絶望感に打ちひしがれるボクサー』がリアルに描ける」

女  「シュッ、シュッ!え?ボクサー?シュッ、シュッ!フェイシングやってるの見てボクサー描くんですか?」

男  「トーシロは黙ってろ!それがプロでしょうが!フェンシング見てボクシングを描く。それがプロってもんでしょうが!」

女  「シュッ、シュッ!すみませんシュッ、シュッ!」

男  「よし!今度はロボット・ダンスをしてくれ!『セックスレスのホモ』を描くから!」

女  「はい!ウィ~ン、ガシャン!ウィ~ン、ガシャン!」

男  「おお!上手い!上手いじゃないか!」

女  「昔、ロボット・ダンスのインストラクターしてましたから。ウィ~ン、ガシャン!」

男  「素晴らしい!よし!次はコンビニ行こう!」

女  「え?コンビニ?」

男  「今度は『夫のDVに悩む新妻』を描くから万引きしてくれ!」

女  「ええ!万引きしにいくんですか!」

男  「出来ないのか!出来ないんだったらこの業界から去れ!!泣きながら去れ!!泣きながら!」

女  「大丈夫です。昔、やってましたから!」

男  「素晴らしい!!」