
2017年09月30日
一瞬で信じこませる話術 コールドリーディング
『一瞬で信じこませる話術 コールドリーディング』
石井裕之著
コールドリーディングとは「まったく事前の準備なしで初対面の人の心の中をその場で読んで占いに見せかける」技術のこと。
つまり、カマをかけるテクニック。
人は他人とは違う人生を生き、自分だけの悩みを抱えていると思いがち。
だけど実は誰もが同じような経験をし悩んでいる。
性別、職業、およその年齢がわかれば、その人の悩みを大まかに判断できる。
これを【ストックスピール】と呼ぶ。
学生ならば将来の不安か恋愛を含む人間関係。
女学生なら恋愛問題がほとんど。
中高年なら金銭関係が主な悩み。
老齢期になると、健康の悩み。
若い人に「胸とか心臓あたりが、ときどき痛みませんか?」
とは聞かない。
当たるかも知れないが確立が低い。
老輩に「想いを寄せている人が居ませんか?」
とは聞かない。
居るかも知れないけど確立が低い。
先ずは外見の情報だけで、当たりそうなカマをひっかける。
それが【ストックスピール】
カマが外れても【ズームアウト】や【ズームイン】といった技法でヒットに結びつける。
「胸や心臓あたりが、ときどき痛みませんか?」
という質問が外れても
「なにか悲しいことや嫌なことで胸が痛んだりしませんでした?」
などと言って、肉体的な痛みを精神的な痛みへと解釈を広げる。
これが【ズームアウト】
「想いを寄せている人が居ませんか?」
という質問が外れても
「昔は居ましたね。その人への想いが残ってますよ」
などと言って、時間的な要素を狭めてみる。
これを【ズームイン】という。
【ストックスピール】で当たりをつけて【ズームアウト】と【ズームイン】を上手く繰りかえしてヒットを探す。
ミスをしても大丈夫。
強烈なヒットさえ見つかれば「言い当てられた」と思いこませる事ができるから。
好きな人の誕生日と同じ数字がやたら目についたり、洗車した日にかぎって雨が降ると思いこんだり。
人は強く意識したものだけが記憶に残って、その他のこと、どうでも良い事は忘れてしまう。
これを【セレクティブメモリ】という。
この【セレクティブメモリ】を利用して、強烈なヒットを一発あてれば
「えー!なんでそれを知ってるんですか?」
と相手は驚き、それまで外れたことを
忘れてくれる。
コールドリーディングを行う人をコールドリーダーと呼ぶ。
このコールドリーダーには三種類あって、ひとつはマジシャンやサイキック・エンターティナーなどでショーとして人を楽しませるタイプ。
もうひとつは霊能者とか超能力、占い師を自称するタイプ。
最後に詐欺師。
だけど霊能者や占い師はみんな詐欺師だ。
俺はそう思う。
だからコールドリーダーは二種類しかいない。
エンターティナーか詐欺師か。
俺が愛する奈美子が別れたいと言ってきた。
突然だった。
わけを聞いて、呆れた。
呆れたついでに奈美子を一発なぐった。
占い師に別れろと言われた。
それが理由だった。
笑っちまったよ。
笑ったついでに奈美子をもう一発なぐった。
腐れ占い師の居場所を奈美子から聞きだした。
そしていま、俺はそいつの店の前にいる。
俺のことを占ってもらおうじゃないか。
お前らは会話しながら情報を引き出すんだろ?
俺は知ってるぜ。
それをコールドリーディングっていうんだろ?
俺は何も言わない。
ただ、未来を占えとしか。
少しでもトンチンカンな事を言ったら、言ったらその時は!
0時を少し過ぎた頃、背の高い男がひとり、私の店にきた。
男は大股でゆっくり歩いて、私の目の前に座った。
テーブルを挟んで、向こう側の木製の椅子に勝手に座った。
テーブルの上には、片付けようとしたカモワン・タロットが置かれている。
男は嘲るようにタロットを見て、そのあとで私の目を真っ直ぐに見つめた。
「俺のことを」
男が口を開いた瞬間、私は右手を男の前に差し出して五指を広げた。
「待って下さい。何も言わないで」
男を制して数秒間、彼の顔をジッとみる。
静寂が店内を包む。
そして突然、私は大きな声で
「出て行きなさい!アンタ、占いを信じてないね!私を試そうとしたね!私の占いが本当にあたるか!それに女の人を殴ったね!アンタの守護霊がそうとう怒ってるよ!とんでもない事が起こるからね!さあ!出て行って!」
静寂の後の大声は人の判断を狂わすほどの恐怖を与える。
男は椅子から転げ落ちて、慌てて店を出て行った。
若い大男。
断りなく椅子に座る横柄な態度。
タロットに向けた嘲りの視線。
まっすぐ人の目をみるのは好意か敵意だか、この男の視線は明らかに敵意。
だいたい大股で歩くような自信に満ちた人間は占いの店にこない。
こういうタイプの【ストックスピール】は、「あなた、占いを信じてませんね?」だ。
なぜ、あの男が女性を殴ったことを知ったのか。
それは、奈美子さんから電話があったから。
前もって情報を手にいれて、占いこと。
それを『ホットリーディング』という。
あの男の身に、本当に悪いことか起これば再びこの店に来るだろう。
今度はお札を握りしめて。
石井裕之著
コールドリーディングとは「まったく事前の準備なしで初対面の人の心の中をその場で読んで占いに見せかける」技術のこと。
つまり、カマをかけるテクニック。
人は他人とは違う人生を生き、自分だけの悩みを抱えていると思いがち。
だけど実は誰もが同じような経験をし悩んでいる。
性別、職業、およその年齢がわかれば、その人の悩みを大まかに判断できる。
これを【ストックスピール】と呼ぶ。
学生ならば将来の不安か恋愛を含む人間関係。
女学生なら恋愛問題がほとんど。
中高年なら金銭関係が主な悩み。
老齢期になると、健康の悩み。
若い人に「胸とか心臓あたりが、ときどき痛みませんか?」
とは聞かない。
当たるかも知れないが確立が低い。
老輩に「想いを寄せている人が居ませんか?」
とは聞かない。
居るかも知れないけど確立が低い。
先ずは外見の情報だけで、当たりそうなカマをひっかける。
それが【ストックスピール】
カマが外れても【ズームアウト】や【ズームイン】といった技法でヒットに結びつける。
「胸や心臓あたりが、ときどき痛みませんか?」
という質問が外れても
「なにか悲しいことや嫌なことで胸が痛んだりしませんでした?」
などと言って、肉体的な痛みを精神的な痛みへと解釈を広げる。
これが【ズームアウト】
「想いを寄せている人が居ませんか?」
という質問が外れても
「昔は居ましたね。その人への想いが残ってますよ」
などと言って、時間的な要素を狭めてみる。
これを【ズームイン】という。
【ストックスピール】で当たりをつけて【ズームアウト】と【ズームイン】を上手く繰りかえしてヒットを探す。
ミスをしても大丈夫。
強烈なヒットさえ見つかれば「言い当てられた」と思いこませる事ができるから。
好きな人の誕生日と同じ数字がやたら目についたり、洗車した日にかぎって雨が降ると思いこんだり。
人は強く意識したものだけが記憶に残って、その他のこと、どうでも良い事は忘れてしまう。
これを【セレクティブメモリ】という。
この【セレクティブメモリ】を利用して、強烈なヒットを一発あてれば
「えー!なんでそれを知ってるんですか?」
と相手は驚き、それまで外れたことを

忘れてくれる。
コールドリーディングを行う人をコールドリーダーと呼ぶ。
このコールドリーダーには三種類あって、ひとつはマジシャンやサイキック・エンターティナーなどでショーとして人を楽しませるタイプ。
もうひとつは霊能者とか超能力、占い師を自称するタイプ。
最後に詐欺師。
だけど霊能者や占い師はみんな詐欺師だ。
俺はそう思う。
だからコールドリーダーは二種類しかいない。
エンターティナーか詐欺師か。
俺が愛する奈美子が別れたいと言ってきた。
突然だった。
わけを聞いて、呆れた。
呆れたついでに奈美子を一発なぐった。
占い師に別れろと言われた。
それが理由だった。
笑っちまったよ。
笑ったついでに奈美子をもう一発なぐった。
腐れ占い師の居場所を奈美子から聞きだした。
そしていま、俺はそいつの店の前にいる。
俺のことを占ってもらおうじゃないか。
お前らは会話しながら情報を引き出すんだろ?
俺は知ってるぜ。
それをコールドリーディングっていうんだろ?
俺は何も言わない。
ただ、未来を占えとしか。
少しでもトンチンカンな事を言ったら、言ったらその時は!
0時を少し過ぎた頃、背の高い男がひとり、私の店にきた。
男は大股でゆっくり歩いて、私の目の前に座った。
テーブルを挟んで、向こう側の木製の椅子に勝手に座った。
テーブルの上には、片付けようとしたカモワン・タロットが置かれている。
男は嘲るようにタロットを見て、そのあとで私の目を真っ直ぐに見つめた。
「俺のことを」
男が口を開いた瞬間、私は右手を男の前に差し出して五指を広げた。
「待って下さい。何も言わないで」
男を制して数秒間、彼の顔をジッとみる。
静寂が店内を包む。
そして突然、私は大きな声で
「出て行きなさい!アンタ、占いを信じてないね!私を試そうとしたね!私の占いが本当にあたるか!それに女の人を殴ったね!アンタの守護霊がそうとう怒ってるよ!とんでもない事が起こるからね!さあ!出て行って!」
静寂の後の大声は人の判断を狂わすほどの恐怖を与える。
男は椅子から転げ落ちて、慌てて店を出て行った。
若い大男。
断りなく椅子に座る横柄な態度。
タロットに向けた嘲りの視線。
まっすぐ人の目をみるのは好意か敵意だか、この男の視線は明らかに敵意。
だいたい大股で歩くような自信に満ちた人間は占いの店にこない。
こういうタイプの【ストックスピール】は、「あなた、占いを信じてませんね?」だ。
なぜ、あの男が女性を殴ったことを知ったのか。
それは、奈美子さんから電話があったから。
前もって情報を手にいれて、占いこと。
それを『ホットリーディング』という。
あの男の身に、本当に悪いことか起これば再びこの店に来るだろう。
今度はお札を握りしめて。
Posted by koujun at 12:47│Comments(0)